――― だから、ちょっとの間だけ、あなた達に貸してあげます ――― 何で、あんな事言ったのかな。 僅かな灯りだけが灯った部屋。 シン、と静まった空気の中で、自分の息遣いだけが煩いくらい耳に入ってくる。 たった一人で食べる夕飯。 『うん。おいしいよ、ナナミ』 そう笑ってくれる顔が、二つ、あったはずなのに。 時々、変な顔をして、二人で顔を見合わせたりする事もあったけど。それでもその後には。 必ず、『おいしい』って。そう、言ってくれた。 優しい優しい二人。大好きな二人。 一人でこうしていると、自分で決めたことなのに……後悔してしまいそうになる。 二人の争う姿が見たくなくて。 辛そうな顔のあの子を見ていられなくて。 だから、自分で決めたことなのに。 言わなければ良かった。――あんな事。 寂しい。 ずっと一緒だった三人が、二人になって………今は、一人。 寂しいよ。 ずっと、一緒だと思ってたのに。 ねえ。どうして、離れて行っちゃったの? 頭を振って、寂しいことばかり考える自分を、必死に追い出す。 ダメ。 こんなんじゃダメ。 私はお姉ちゃんなんだから。 あの子を信じるんだから。 あの子達を信じるんだから。 ねぇ、待ってるからね。 二人が仲良く帰ってくるのを待ってるから。 二人とも元気で、元通りの優しい顔で。 『ただいま!』 そう言ってくれるのを待ってるから。 早く帰ってきて。 ここに。 この場所に。 側にいられなくて、それでも会いたくて。 今日もまた、夢に、堕ちる。 顔面蒼白で立ちつくす少年と、何度も名前を呼びながら、暖かい腕で抱きしめてくれている少年。 私達の時間は、そこで止まっていた。 幾度も繰り返す夢。 幾度も繰り返す、涙。 夢の中の二人に、声をかける。 届かない言葉だと分かっていても、僅かでもいい、この想いだけでも届くことを祈りながら。 二人とも、そんな顔しないで。 誰の所為でもない。 誰の所為でもないの。 だから泣かないで。 自分を責めないで。 泣かないで。 周りを見渡すと、いつもの光景。いつもの、部屋。 記憶さえ残っていない小さかった頃から過ごしてきた、いつもの場所。 辺りは暗く、まだ夜明けには遠い。 濡れた顔を擦る。 泣かないで。 笑った顔が見たいの。 二人の、笑った顔だけが。 また、見たい。 ねえ、聞こえる? 私ね、ちゃんと、生きてるから。 生きて、二人が帰ってくるの、待ってるから。 だから、早く帰ってきて。 また、一緒に、みんなで暮らそうね。 昔みたいに、みんなで仲良く。 ずっと、待ってるからね。 ずっと。 じいちゃんの側で、三人で遊んだこの場所で。 帰ってきてね。 必ず、二人で。 【 be_expecting / 幻想水滸伝 】 |